2013年05月10日(金)08時54分

ホンダジェット機完成約1年延期

ホンダは過去度々出荷時期の延期を繰り返して来たが、、これ迄2013年5月に処女機の受渡しを行う予定であったが、更に1年位を要すると出荷の1年延長を発表した。この時点で詳細は分からないが、エンジンの形式証明を取得するのは、本年末迄懸る事が明かに成って来た。ホンダは当局が要請する試験デ-タ-の提出が遅れている為と説明している。ホンダは自社開発したHF 120エンジンを搭載するが、ビジネス機メ-カ-自身がエンジンを開発・搭載するのは初めて。故に、大きな関心を集めた。通常はロ-ルスロイス、GE, P&Wと言ったエンジンメ-カ-と航空機製造会社 Airframe Company) が必要なエンジンを共同開発する。航空機は自動車同様組立産業であるが、自動車の場合はエンジンを自社生産している。ホンダの創業者本田宗一郎氏は当初より航空機生産の夢を抱き、先ず原動機付き2輪車でエンジンを開発、更に自動車産業に進出、ホンダジェットはその永年の夢の結実と成る事業。本田は埼玉県にホンダ空港を持ち永年ジェネアビ域を飛ばして来た。多少勘違いはあるが、日本のビジネス機の圧倒的多数は実は地味なジェネアビ機。その意味ではホンダは日本のビジネス機の草分け的存在。ホンダジェットは度々の技術的改良で発表価格も上がり現在は$4.5百万するが完成時には$5百万程度には成ろう。これでもエアショ-に並ぶHeavy Jetの1/10以下。新機種の開発には時間が懸り、再三延期と成るのは業界では当り前。(三菱重工のMRJも当初発表の予定よりかなり遅れ、Boeing 787に至っては数回の延期の後商業運転に入り、不具合が見付かり運航停止となった)航空機は高度の技術の結晶であり、信頼性、安全性のチェックも厳しいので致し方ない。ホンダジェットに対する市場の期待は高く、採算に乗せるに必要な機数は発表後3日で完売。その後、完成時期の遅れが発表されても受注が続き処女機出荷を待たず、生産工場の増設による生産量の倍増を発表している。市場も冷静に受け止めて居るが、その成功を暖かく見守りたい。

ホンダはAirframeは勿論心臓部のエンジンを自社開発で搭載するので大きな話題と成って居るが、この陰に隠れて大きく報道されないのが中国。最近上海で開催されたABACE 2013で明かになった事は中国は国策として将来自国で開発したエンジンを搭載した、リジョナルジェットやビジネスジェット機を自国生産する事。広大な領土を守る為の航空防衛体制の整備の国家的要請は高い。近隣諸国よりの侵略が想定されない現在でも、防衛費だけは突出して伸びている。過去1年、不況に喘ぐ海外ビジネス機業界の買収、資金援助、中国での現地組立て、合弁による現地生産等海外技術取得の各種手段はシステマチックに手を打たれた。中国は既に弾道ミサイル、衛星打ち上げでミサイル技術は高度の水準。これに、潤沢な防衛費予算、海外技術と自国技術のドッキングを図れば、航空機産業は日本を圧倒する事も予測外ではあり得ない。ビジネス機等はその中の小さな一領域ではあるが、日本との格差は益々開く事は覚悟しなければ成らない。ABACE 2013でGalleon (Shanghai) Consulting社が発表した資料によれば、現在中国では19種の航空機エンジンの開発が進み、ビジネスジェット機用にはJiuzhai Engine 出力2200 lbsが2015年に完成予定。他に、タ-ボプロップ機、回転翼機用エンジン等多様なエンジン開発が並行的に行われていると言う。

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