2013年05月11日(土)12時53分

ANA Boeing B-787 中国便に就航復帰

ANAはBoeing B787の運航再開に成った事を受け、6月より羽田―北京線にB787を再投入する他、羽田-台北、成田―北京、成田―上海間でもB787を投入すると発表した。本サイトは日本ビジネス機の将来の在り方を考える事が目的で商用便の広報が目的ではないが、ビジネス機との関連で下記の諸点に留意が必要。

 

飛行の利便性

定期商用便:昨年の日中間合意に基き羽田―北京間の昼間の定期便も1日6便が本年より12便に倍増する。無論、成田より、北京、上海、香港を始め多くの中国都市との昼間の便利の良い時間帯のダイヤも組まれている。

ビジネス機:羽田は23時~6時の深夜早朝以外利用不能。成田は利用可能だが、大手商用便が利便性の高い時間帯を抑えて居りビジネス機は使えない。又、ビジネス機は不定期利用の為、定期便優先のル-ルに従い不利な立場、事前通告、駐機制限等各種規制に縛られ、定期商用便とは利便性に大きな段差がある。

飛行時間

定期商用便:空港の混雑にもよるが、羽田―北京片道3.5~4時間、羽田~上海3時間。

ビジネス機:Heavy Jetの巡航速度は商用機と変わらないが、近隣諸国に飛ぶのであれば、Light, Mid-Jetで充分。機種により一口では言えないが、巡航速度は商用機の10~20%減と考えられる。ビジネス機の最大のメリットは「時間を金で買う」事にあるが、2点間の直行便ではビジネス機の方が時間を要する。少なくとも、ビジネス機を利用する事により時間の節減は図れない。更に空港の利便性の高い時間帯の利用が極端に制限されるので、ビジネス機利用の障壁は高い。

運航に関わる各種規制

定期商用便:無論定期商用便と言えども各種規制に縛られるが、利用者は永年の慣習で慣れている。

ビジネス機:日本側の規制も多く残るが一昔に較べれば大幅に改善された。但し、ABASE 2013の参加者の報告では、中国側の規制は一昔前の日本以上に厳しい由。此処でも、定期商用便との落差は大きい。

利用コスト

定期商用便:本サイトはビジネスマンの利用を対象にして居るので、格安券やLCCの運賃は除外する。中国迄の飛行時間が短い為、航空会社もファ-ストのサ-ビスは提供しない事が多く此処ではビジネスクラスのフルフェア-を流用する。

羽田-上海往復¥260~270,000.飛行距離往復3,600㎞として¥72~75/㎞。

羽田―北京往復¥320~340,000.飛行距離往復4,200㎞として¥76~81/㎞。

一般ビジネスマンがビジネスクラスのフルフェア-を払う事は少ないが、飛行時間が短いのでエコプレ(プレミアムエコノミ-)を利用する場合もあろう。成田発だが、パキスタン航空の北京往復のビジネスクラスは¥83,000飛行距離往復4,200㎞として¥20/㎞。

ビジネス機:利用機種により異るが、燃料費の変動で利用料も大きく左右される。商用便と異りオイルサ-チャ-ジは無いが、燃料代は運航代の実費としてフルにチャ-ジされる。ビジネス機で¥1,000/㎞以下の利用料は無く、¥1,500~2,000/㎞位するので商用便とのコスト差が大きく、ステ-タスシンボルとして幾ら払っても構わない利用者なら兎も角、本サイトが対象とする一般ビジネスマンは大手企業のトップと言えども社内規定の縛りがあり、利用する事は無い。

対応策

1.上記の如く、利便性、運航上の諸制約そして最も決定的な要因である運賃面でも商用便とビジネス機では「考慮の余地」が無い程の格差があり、大手企業を含め日本の一般ビジネスマンがビジネス機を利用する事は考えられない。ではどうするか?

2.日本の企業マンが過去四半世紀~半世紀踏襲して来た既定路線を歩めば良い。即ち、日本の空港から、中国の主要都市には「大量輸送」によるコストが安く、利便性の高い商用便を利用。

3.中国の訪問先が交通のアクセスが悪い地方の場合は、中国の主要空港より現地のビジネス機を必要に合せチャ-タ-する。但し中国の場合、ビジネス機の用意が無い空港もあり、事前にチェックが必要。北京、上海、香港は問題無かろうが、地方都市によってはビジネス機が直ぐチャ-タ出来るか、如何なる規制が有るか充分に事前調査が必要。

4.本サイトでも繰り返し述べて来たが、商用便かビジネス機かと言う二者択一の選択ではなく、商用便とビジネス機を相互補完的に利用するとの柔軟な発想が必要。特に中国はABACE 2013で明かに成った様にビジネス機の保有機数も、機種の多様性も飛躍的に伸びており、欧米先進国も遅れじと運航を始めとするソフトの面での中国の支援に乗り出して居るので、日本がこれを利用しない手は無い。「ライバル」「脅威」視する事無く、これを補完手段として利用すれば、日中両国のWin-Winの関係が確立出来る。

 

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