2013年07月04日(木)09時08分

パリ-エアショ-2013(2)

パリ-のエアショ-は航空業界の最大のイベントではあるが、軍用、商用を含めあらゆる機材が陳列されるので、ビジネス機の様に比較的小型の機材は地味な存在であまり話題ともされないが、日本に向くと思われるビジネス機の低価格帯($3~5百万㌦以下寧ろ1百万ドル前後)等は全く問題にされない。1百万ドルの回転翼機200機が成約してもAirbus A-380 1機(250百万ドル)にも及ばない。やや虫眼鏡で拾う作業も必要だが2~3の話題を紹介する。

(1)Airbus A-380は当初の勢いもここ2~3年萎え今回のショ-が注目されたが、昨年12月にシンガポ-ル航空が5機発注したのに続木正式契約には至っていないが、アイルランドを拠点とするDoric Leaseが2016年以降の受渡しで20機の発注を決めた。Airbusの本年度の成約目標が20機である為、目標達成がほぼ確実と成った。契約が確定すれば過去の発注を加え合計282機の受注と成る。

(2)エアショ-に初参加したポ-ランドのMetal Master社が炭素繊維のコンポジットで作った小型ジェットFlaris LAR-1を出展した。自重700㎏、離陸最大重量 1500㎏、航続距離 2500㎞、装備エンジンPratt & Whitney Canada PW615F turbo-fan ,Garmin G600計器装備、価格1.5百万㌦。本年中にポ-ランドの形式証明を取得した後、2015年中に欧州のPart-23の形式証明取得目標。来年度20機がポランドの形式証明に基き引渡しされる予定。

(3)低価格帯の単発タ-ビン回転翼機は米国Robinson社が R-66を2011年より80万㌦台で発売してからこの分野では一人勝ちの様相を呈し、生産能力がネックと成り、市場の需要に追い付かない状況が続き競合品の出現が待望されたが、米国Bell社が日本でも多く使われている206 Jet Rangerの後継機としてSLS (short light single). 積載量 680㎏、航続距離 667㎞、Turbomeca Arrius 2R,Garmin G1000装備を発表した。気に成る価格は競合価格とのみ述べている。競合機種はRobinson R-66  83万㌦、Eurocopter EC-120 140万㌦だが、デ-タ-が出揃う2014年度のHeli-Expo (2013年のHeli-Expoは先月モスコ- で開催)で発表される。

(4)米国Enstrom Helicopter 社は、昨年12月、中国のChongquing Helicopter Investmentが買収したが、単発レシプロ機の市場を席巻するRobinson R-44の対抗機をアジア市場中心に生産・販売すると発表、中国側のゴ-サイン待ち。R-44は50万㌦を切る価格だが、中国側は本年に入り1千万㌦の開発資金をEnstrom社に融資した。パリーの華やかなエアショーの渦中で定格タイの回転翼機等は目立たないが、この種価格帯の機種は寧ろ日本向きであり注目したい。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*